トトとの出会い
毎週、お茶のお稽古に通う道の途中に小さな小鳥屋さんがありました。
ただ小鳥が好きでしかたない、と言った感じの老夫婦が営んでいる昔ながらの小鳥屋さんです。
朝、そこを通る時間は、おじいさんが鳥かごを外に出す時間です。
午後、帰るときには小鳥たちは元気にかわいく歌っていました。
私はそこを通るのが楽しみでした。
小鳥がほしい気持ちが高まって、いつか買うのならこのお店で、と決めていました。
飼うのなら、少女の頃飼っていたセキセイインコがいいと思いました。
おしゃべりをするセキセイインコは、一人でいることの多い私のいい話し相手になるでしょう。
夫に相談すると、体が大丈夫なのならいい、とお許しが出ました。
昔飼っていたときには喘息がひどくなって、みんな手放さなくてはならなくなったのです。
病院に行ってアレルギーの検査をしてもらったら、「1羽2羽なら問題なし」とのことでした。
喜んで小鳥屋さんに行くと、今はセキセイインコのヒナはいないけれど
次の仕入れのときに入れておこう、と約束してくださいました。
それから半月ほどたって、小鳥屋さんの店先に
「セキセイインコのヒナ、入りました」の貼り紙があるのを見つけました。
次の週末、私は夫を連れて、その小鳥屋さんに行きました。
おじいさんがにこにこと見せてくれた箱の中には
7、8羽のインコのヒナたちがもこもことひしめいていました。
どの子にしよう?みんなかわいい!
迷っていると、1羽のヒナがまっすぐに私を見上げて、大きな声で「ピルルピルル!」と鳴いたのです。
他のヒナたちが眠ったり、そっぽを向いたりしている中で、その子だけが私を見つめて…。
「連れて帰ってよ!ボクをおうちの子にしてよ!」と言っているようでした。
私が選ぶのではなく、私がその子に選ばれたようでした。
そして、小さなボール紙の箱に入って電車に乗ってやってきたのがトトでした。
1997年6月2日のことでした。