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子ウミガメの放流の前に、サンクチュアリジャパンの方による講義を受けました。
それによって、私たちはアカウミガメのことを知り、
海岸の現状を見つめ、放流会の意義を学びました。
ただ、かわいい子ガメと触れ合えることを楽しみにやってきた私たちも
この講義を聴くことによって姿勢を正し、子ガメへの思いを強くしました。
学んだことを少しでもここに記しておきたいと思い、このページを作りました。


アカウミガメについて

天然記念物。環境庁指定希少種。
国際自然保護連合レッドリスト指定絶滅危惧種。ワシントン条約付属書Tに記載。

このカメにだったら浦島太郎もらくらく乗れたことでしょう。
大きなもので体長2m体重200kgにもなるこのウミガメは、名前のとおり体は赤褐色。
世界中の熱帯から温帯の海を広く泳いでいます。

世界の海には8種のウミガメが棲息し、そのうち5種が日本の近海で見られます。
そのうちアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種が日本で産卵するのですが
その中で、本州で産卵が見られるのはアカウミガメだけです。

アカウミガメは一生のほとんどを海中で暮らし、陸にいるのは孵化直後と産卵のときのみです。
この遠州灘へは5月から8月にかけて上陸し産卵します。
真夜中に上陸した母ガメは大きな後ろ足で深く深く砂浜を掘り、
1度に60〜120個ほどの卵を産み落とし、ふたたび砂に埋めて海に帰ります。
1頭の母ガメは3〜5回ほど産卵のために上陸します。

卵は砂浜の地温で温められ、約2ヶ月で体長6cmほどの子ガメが誕生します。
単独では地上に上がれない小さく弱い子ガメたちは、兄弟たちが孵化しそろうのを待ち
それによって崩れてきた砂や卵の殻を踏み台にして穴の外に出てきます。
子ガメはだれに教わることなく海を目指して砂浜を歩き、
波打ち際にたどり着くと波にさらわれるようにして海へと旅立っていきます。
あとは波まかせ。
暖流に乗って太平洋を漂流し、メキシコの近海まで流れていってそこで成長します。
運良くたくましく生き残ったこのカメが産卵のためにふたたびここに帰ってくるのは20年後のことです。
小さな小さな子ガメたち、大人になれるのは1000頭につき1頭ほどだそうです。


なぜ人が卵を保護し、孵化をさせ、人の手によって放流するか?

地熱によって自然に孵化し、本能によって海へと旅立っていく子ガメたちを
なぜ人工孵化させ、放流させるのでしょうか?
よけいなおせっかいなどせずに、自然のままにしておけばいいと思いませんか?
数十年前だったらそうだったでしょう。
今、この海岸の現状ではそうしておけない理由があります。
大きく分けて次の4つの理由によって、自然孵化や自然に海に帰ることが難しいと考え、
希少なアカウミガメを守るために、このように卵の保護、子ガメの放流をしているのです。

産卵する場所がなくなった
まず、物理的にウミガメが産卵できるような砂浜が少なくなりました。
埋め立てや開拓のために、砂浜が削られたり、コンクリートで固められたり、
テトラポットが置かれたりして、ウミガメの産卵に適する場所がなくなってきたのです。
また、海岸に乗り入れられた車により、砂浜が固められて低くなり、
水没する部分が増えて、砂浜の幅が狭くなってきてもいます。
せっかく産卵するために上陸しようとしたウミガメがあきらめて戻ってしまったり
場所が狭いために産卵場所が重なってうまく孵化できなくなってしまうのです。

卵や子ガメを盗掘する人がいる
絶滅危惧種、天然記念物、とは言っても、それを売買することは禁止されていないのです。
珍しくてかわいいウミガメの子どもや卵は高値で取引されるそうです。
それを狙った人々による盗掘が絶えないそう
です。
人工の光に惑わされて子ガメが海に帰れない
生まれたての子ガメたちは何を目印にして間違いなく海に向かって進んでいくのでしょうか?
それは海が反射する紫外線です。
夜から明け方にかけて孵化した子ガメは、何よりも光を反射する海に向かって歩いていきます。
それが海に帰るための一番間違いのない方法だったのです。
ところが今、陸地は人工照明に満ち溢れています。
街のネオンが空を明るくし、陸地を照らし、海よりもはるかに明るく輝いています。
子ガメたちはその光に惑わされ、無事に海に帰ることができなくなっているのです。
何もわからず明るさに導かれた子ガメが車道を歩いているところを発見されたこともあったそうです。
ある観察によると、一度に孵化した子ガメたちのうち、
無事に海に入れたものは1匹だけだったと言うことです。
海岸に乗り入れた車両による弊害
大昔は車などありませんでした。
そして少し昔でも、砂浜を走れるような車はありませんでした。
ところが今、四輪駆動車、オフロード車など、砂浜を自由に走れる車があります。
レジャーのために砂浜に乗り入れた車両は、砂の中の卵をつぶしたり、
砂を固めて自然な孵化を妨げたりするのです。
そして、その深い轍(わだち)は、孵化したての子ガメの行くてをさえぎります。
体長6cmの子ガメは轍を越えられないまま力尽きてしまったり、
身動きが取れない間に夜が明けて、他の動物や鳥の餌食になってしまうのです。
またレジャーに来た人が捨てて行ったゴミによっても同じように進路をさえぎられて
海に帰ることができなくなってしまうのです。

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かわいくてつい買ってしまった実物大の子ガメの置物