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卵の保護と孵化について

アカウミガメは、5月から8月にかけて上陸して産卵します。
産卵シーズンになると、早朝サンクチュアリジャパン(ボランティア)の調査員が砂浜をパトロールします。
夜中にカメが上陸し産卵すれば、その足跡や砂を掘った跡が残っているのでわかります。
産卵箇所を見つけたら、そこを丁寧に掘り、ピンポン玉ほどの大きさの柔らかい卵を取り出します。
そして浜辺に作られた孵化小屋の砂に深さ50cmほどの穴を掘り、ふたたび埋め戻します。
卵はそれぞれのまとまりごとに囲われ、産卵日と卵の個数が書かれた札が立てられます。

「人工孵化」と言っても、人間が温度管理をしたり特別な技術を施したりして、孵化を促すわけではありません。
ただ、守るために場所を移動させるだけ、孵化はそれぞれの子ガメの生命力に任せてあります。
子ガメたちは、自然の地熱によって温められて、時期が来ると自然に孵るのです。

孵化小屋の砂の中で孵化を待つ


放流について

約2ヵ月後、深夜から明け方にかけて子ガメたちが孵ります。
いっぺんに地上に出てくるわけではありません。
深くしっかり埋められた砂の中から、兄弟たちが助け合って何時間もかけて地上に出てくるのです。
そして生まれ出た子ガメたちは間違いなく海に帰れるように、人々によって見送られます。

なぜ遠くからも人を集めて放流会をするのでしょうか?
無事に孵化したらさっさと海に帰したらいいのではないのでしょうか?
それもそうです。
でもこの放流会は、多くの人が集まることに意義があるのです。
誰でも生まれたばかりの子ガメを手にしたら、その小ささ、かわいさ、そして力強さに感動するでしょう。
そしてできるだけ多くの人に、カメに親近感を持ってもらった上で、
カメが絶滅に瀕するようになった海岸の現状を直視し、考えてもらいたい、と言うことなのだそうです。

けなげな命がなにひとつ頼るもののない大きな海に向かっていく姿を見ると、祈らずにはいられません。
ほんの数分でも自分の手の中にいた小さな命が暮らす海が、いつまでも美しいものであるように。
やがて帰ってきたときに、また安心して産卵できる海であるように。


放流会に参加して

動物好きの私は、本物のウミガメの赤ちゃんに触れ合えるいい機会と思い、喜んでこのツアーに参加しました。
でも、ただ好奇心だけでカメを手にし、「子ガメ、かわいいね。放流したよ。元気でね。」
で終わってしまうのはどうかなと思っていました。

参加して、結果。
体験して感じたことはとても大きかったです。
この手で小さなかわいい子ガメに触れ、力強さを感じられたこと。
大きな大きな海を眺めて、子ガメが旅立つ遠い異国の海や、未来に思いを馳せたこと。
普段あまり訪れることのない砂浜を歩き潮風を受け、足元の砂から生まれ出る命を思ったこと。
その命が安心して住めるような、帰って来られるような、そんな自然を守りたいと強く感じたこと…。
大げさかもしれませんが、本当にそう思ったのです。

子ガメはほんとにほんとにかわいかったです。
海に帰っていく様子には胸を打たれます。
カメがかわいいから行ってみよう!でいいと思います。
是非是非みなさんにも触れていただきたいです。
特にお子さまには、いい思い出、素晴らしい体験となることと思います。

今回は駆け足の、放流会だけのツアーでしたが、泊り込みの産卵調査・観察会もあるそうです。
7、8月は、運がよければ、5月の最初のカメが産卵した卵の孵化と、
遅くやってきたカメの産卵、両方を観察することができるかもしれません。
来年はできたらそれに参加してみたいと思っています。
ご一緒しませんか?

生きもののことですから、いつカメが産卵にやってくるかはわかりません。
孵化の方は、産卵の日から考えて、気温や天気などの過去のデータである程度予測できるそうです。
放流会の日程は、大体それで決められているそうです。
それでも、人が多かったり、孵化する子ガメの数が少なかったりすると、
ほんの何匹かの旅立ちを、大勢で見守る、と言うようになることもあるといいます。
今回、私たちは孵化数の多い日にあたり、ひとりにつき2匹の子ガメを預かることができたのは幸運でした。
わずかな時間でも、生まれたての柔らかい子ガメの体をこの手の上に乗せて、眺めることができました。
小さくてもちゃんと六角形のカメの甲羅を持っているのですよ。
手足はきちんとひれの形をしているのですよ。
これで海を泳ぐんだなぁ。
そんなふうにできているんだなぁ。
愛しいな…。
瞬間、彼らは私たちの子でした。

やがて、私たちの手から砂の上に降ろされたその子たちは、兄弟たちと共に光る海のほうへと歩き出しました。
海へ!海へ!
浜辺に立つ人たちは、自分の手から旅立った子ガメを最後まで目で追っていました。
子ガメたちは次々と波打ち際にたどりつき、寄せてくる波をかぶり、引いて行く波に連れて行かれました。
今、彼らの長く厳しい旅が始まりました。
そしてそれは彼らの人生そのものなのです。

がんばれ!いってらっしゃい!の声もやみ、すべての子ガメが海へと旅立ったあとには
小さな足跡がいく筋も残されていました。
彼らがふたたび砂の上を歩くのは運がよくて20年後です。
多くの子ガメたちは、二度と地上に上がることはありません。

前だけを見て一心に海へと向かう子ガメ

最後に

子ガメに会えることを楽しみに気軽に参加したツアーで、こんなにもいろいろなことを感じることができました。
想像していた以上に楽しい素敵な体験でした。
ただの「イベント」ではありませんでした。
カメと聞いて私のことを思い出し、誘ってくれた友だちとそのお母さまに感謝します。

うろ覚えの講義内容をまとめているうちに、疑問点やはっきりさせたい点が出てきて
サンクチュアリジャパンの事務局に電話をしました。
たまたま応対してくださったのが、代表の馬塚さんで、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
そのすべてをここに書くことができないのが残念です。
興味をお持ちになった方、どうぞサンクチュアリジャパンのHPをごらんになってくださいね。
今回レポートしたアカウミガメについてだけではなく、いろいろなお話が待っています。
子ガメの放流会情報もありますよ。

最初は、このレポートにはこんなにコムズカシイことを書くつもりはありませんでした。
書き進み、思い出すうちに、すっかり熱くなってしまいました。
堅苦しくてお説教っぽくなってしまってごめんなさい。
あの一日で私が見たこと、感じたこと、学んだことを少しでもお伝えできたのなら嬉しく思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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砂に残された子ガメの足跡